文章力の重要な要素のひとつに、「一言にまとめる力」があります。たとえば次のような文章を読んで、あなたはどのような一言にまとめますか? [ ]に当てはまる言葉を考えてみてください。
いつも一緒に下校する中学生二人の耳に切迫した声が聞こえてきたのは、通学路の川沿いを歩いていたときだった。「助けて!」聞こえてきた方角を見渡すと、川でおぼれている男性の姿があった。「びっくりして、一瞬頭が真っ白になった」という二人だが、すぐに救助に動いた。Wさんは男性を見失わないよう注視し、Sさんは助けてくれる大人を探しに向かった。大人たちが集まり救助作業が始まると、Wさんは川の近くに緊急用の救命胴衣が設置されているのを思い出し、取りに向かった。一方、Sさんは駆けつけた救急車を誘導するなど、各自ができることを考えて行動した。おぼれた男性の命が無事に救われたのは、中学生二人の[ ]のおかげであると言えよう。
(朝日新聞の記事を改変して掲載しています)
ここで描かれている状況を、どのような一言にまとめることができるでしょうか。大人の方であれば、「迅速かつ臨機応変な対応」といったような表現に落とし込むことができるかもしれません。
でもこの問題は、実は小学生向けのクラスでやったものです(小学生向けの作文ゼミでは、毎回授業の最初に「頭の体操」と称したワークをやっていますが、そこで「一言にまとめる」練習もしています)。
小学生には、[ ]に当てはまる言葉をできるだけたくさん考えてみましょう、と呼びかけています。文章の内容全体を網羅するような一言にまとめるのはかなり難易度が高いので、まずは部分的に当てはまる言葉を探していきます。「すばやい行動」「適切な判断」「見事な連携プレー」など、いろいろ挙げられるかと思います。
文章というのは、具体的に書いたものを一言にまとめる、また逆に、一言で言い表したものを具体的に説明する——ほぼその繰り返しで成り立っていますので、「一言にまとめる力」というのは大変重要です。
そして、この「一言にまとめる力」のベースにあるのは、「読解力」と「語彙力」です。文章を書くときには、自分が展開した内容を正確に読み取る力(読解力)と、それを適切な一言と結びつける力(語彙力)が必要とされるのです。
このように作文ゼミでは、文章力というものを要素分解して、必要なトレーニングを行っていきます。もっと詳しく知りたいという方は、ぜひお声掛けください!
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