作文や小論文、英語のエッセイ、また教科にかかわらず記述式の解答を上手く書けるようになりたいと思ったとき、一言で言えば「文章力をつけたい」と思ったとき、すぐに突き当たる問いは、「そもそも文章力とは何か」「どうやったらそれは身に付くのか」というものでしょう。この問いに対する答え方は様々あると思いますが、作文・小論文・エッセイのクラスを受講してくださる皆さんに私がお伝えしたいのは、「文章力≒自己添削力」ということです。
「自己添削力」とは、自分の書いた文章を読み直しておかしなところを見つける力であり、より適切な言葉や語順、構文、展開の仕方を見つける力です。自分の書いた文章に対するチェック機能がより高度に精密に働くようになればなるほど、文章力があると言えます。例えば、書くことを生業とする作家の人たちが、なぜ優れた文章を書けるのかと言えば、それは自分で書いた文章を自分でより良いものに練り上げていく力があるからです。彼らにしても、決して瞬時に素晴らしい文章がスラスラと出てくるわけではありません(そういう人も稀にいるかもしれませんが)。彼らは、何百回、何千回と自分の書いた文章を読んで、直す作業をしていくそうです。私たちが普段書く文章には、もちろんそこまでの推敲は必要ありませんが、しかし、文章力が直す力であるということに変わりはありません。
では、どうやったらその直す力ーー「自己添削力」ーーは身に付くのでしょう。この問いに対する答えは当然ひと通りではありませんが、他人に添削してもらうというのは、ひとつの有効な方法です。他人に添削してもらうことにより、文章を直す際にチェックすべき項目を習得することができるからです。正しい主語・述語関係、読みやすい語順、適切な接続語の使い方、分かりやすい論理構成など、チェック項目は膨大にありますが、授業では段階を追って、添削の基準を上げていきます。そしてある段階に達したら、しばしば自己添削をやってもらうようにしています。私は敢えて添削をしません。「ここからここまで、もっといい文章にできるはずだから、自分で直してみてください」と言うだけにします。そうやって自力でいい文章に書き直すことができたとき、子どもたちは自らの文章力の向上を実感することができます。お互いにとって、一番嬉しい瞬間です。
「文章力≒自己添削力」を鍛えるというのは、年単位で時間のかかる話ではありますが、じっくり時間をかけてやる価値のあることだと思いますので、ご希望の方はぜひお声がけください。
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