よく世間では「自立学習」という言い方がなされますが、学習をする上で大切なのは「自立性」ではなく「自主性」ではないかと、私は常々思っています。
試しに「自立」と辞書を引いてみると、「他人の助けを借りずに自分一人の力だけで物事を行うこと」と出てきます。何かを学ぶとき、他人の助けを借りずにできるようになることが、果たしてそんなに重要でしょうか。学びという行為は、学生時代に限らず、生涯に渡ってするものです。これから様々な局面で何かを学ぶとき、大事なのは他人の助けを借りないことではないと思います。他人の助けは大いに借りて結構。いえ、むしろ他人の助けを借りなければ成し遂げられないことの方が圧倒的に多いでしょう。ですから大切なのは、助けを借りないことではなく、いつ誰にどんな助けを借りるかということを自ら判断し、実行に移し吸収する力をもつことではないかと思います。
一方の「自主」は、「他人の干渉を受けず、自分の判断で行動すること」という意味の言葉です。他人に指示されてやるのではなく、主体的に学びの行動を起こしていく「自主学習」こそが大切なのではないでしょうか。
これは一朝一夕にできるようになることではありませんが、長期的な視野に立って、そういう力も養ってほしいと思いながら、授業でも少しずつ促すようにしています。スケジュールや学習内容の管理を講師や親が一方的に行い、子どもは単に指示を待っているだけというスタイルは望ましくありません。生徒の側から主体的かつ具体的な質問や相談があり、講師はそれらを受けて、教材の選定や優先的にやるべきことの判断、解法のコツの伝授や、個々人によって異なる効果的な学習法や注意点のアドバイスをしていくということができれば、理想的です。時間はかかりますが、そういう関係性を築けるよう、これからも意識してやっていきたいと思っております。
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